ランニング中にペースを上げた際に、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が痛くなった経験はありませんか?実は、ペースアップによる姿勢の変化が、その痛みの原因となっている可能性があります。本記事では、そのメカニズムと予防策、そして既に痛みがある場合の対処法について詳しく解説します。
1. ペースアップ時に前脛骨筋が痛くなる原因
1-1. ペースアップによる姿勢の変化
走るスピードを上げると、自然と前傾姿勢の角度が増します。この前傾姿勢によって、身体の重心が前方に移動し、接地時の足の位置が変化します。その結果、爪先が地面に近づく傾向が強くなります。
距離にもよりますが、体感では1キロ4分20秒を超えたあたりから注意が必要です。このペースを超えると、前傾姿勢が強まりやすくなり、無意識の動作による筋肉の負担が大きくなることがあります。
1-2. 無意識に爪先を上げる動作と前脛骨筋への負担
爪先が地面に近づくと、多くのランナーは無意識に爪先を上げる動作(足首を背屈させる動作)を行います。この動作によって前脛骨筋が過度に働き、疲労が蓄積しやすくなります。特に、長時間のランニングや急なペースアップを行うと、前脛骨筋に過剰な負担がかかり、結果として痛みを引き起こすことがあります。
2. 前脛骨筋の痛みを防ぐための対策
- フォアフットまたはミッドフット着地を意識する
- かかとから着地するヒールストライクではなく、足の前方(フォアフット)や中央部(ミッドフット)で着地することで、前脛骨筋の負担を軽減できます。
- ペースアップ時のフォームを見直す
- 急激に前傾しすぎないように意識し、上半身と下半身のバランスを保つことで、過度な爪先の持ち上げを防げます。
- 前脛骨筋のストレッチと筋力トレーニングを行う
- ランニング前後に前脛骨筋をしっかりとストレッチすることで、筋肉の柔軟性を高め、負担を軽減できます。
- チューブを使った足首の背屈トレーニングなどで筋力を強化するのも有効です。
- シューズの選び方を見直す
- 適切なクッション性とサポートがあるシューズを選ぶことで、衝撃を分散し、前脛骨筋への負担を減らせます。
- より脱力を意識する
- 走行中に余分な力みがあると、無意識に筋肉を過度に緊張させてしまいます。特に足首周りの力を抜き、リラックスした状態を意識することで、前脛骨筋への負担を軽減できます。
3. 既に痛みがある場合の対処法
前脛骨筋の痛みがある場合は、症状の程度に応じて適切な対処を行いましょう。
- 軽度の場合 → ジョグで脱力を意識したフォーム改革をする。
- 中等度の場合 → ラン&ウォーク(10分ラン、5分ウォーク)程度の練習にする。
- 重度の場合 → 歩いても痛むようなら、暫く練習を控える。
加えて、以下の方法も試してみましょう。
- テーピングを活用する
- 前脛骨筋への負担を軽減するために、スポーツテーピングを行う。
- テーピングの方法
- 5cm幅のキネシオロジーテープを用意する。
- 足首の上部(甲の少し上)から、すねの中央に向けて、前脛骨筋に沿って貼る。
- テープを適度に伸ばしながら貼ることで、筋肉のサポートを強化する。
- 痛みがある部分に、追加で横向きの補助テープを貼ることで安定性を向上させる。
- ペースを見直す
- 速すぎるペースが原因であれば、ゆっくりとしたペースでのランニングに切り替える。
痛みが続く場合は、無理せず整形外科やスポーツトレーナーに相談することをおすすめします。
4. まとめ
ペースアップ時の前傾姿勢の変化により、爪先が地面に近づくことで無意識に爪先を上げる動作が生じ、それが前脛骨筋の痛みにつながることがあります。
この問題を防ぐためには、
- 適切なフォームの維持
- ストレッチや筋力トレーニングの実施
- 適切なシューズの選択
- 走行中の脱力を意識すること
が重要です。
また、既に痛みがある場合には、症状の程度に応じた適切な対処を行い、無理をせず回復を優先することが大切です。ぜひ意識してみてください!
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